プロジェクト活動

 

林野庁林政部経営課組合組織班御中


「新たな林政における森林組合のあり方」に関する意見提出の件


特定非営利活動法人 森づくりフォーラム
森林政策市民研究会


 この度、貴林野庁におかれましては「新たな林政における今後の森林組合のあり方」について、広く国民の方々からの 意見を募集されましたので、本会として会員の意見を求めた中で、抽出すべき意見を書き出し、あわせて、先般、 発表しました「第三次提言」より抜粋して本研究会の意見として提出いたします。

2001年7月13日

 


「新たな林政における森林組合のあり方」に関する意見書

1、林産、流通部門の強化


 国産材利用に関して、地産地消を進めるのも、都道府県(以下“県”)森連が積極的に関与し、 各地の単位組合が行動する形を取るべきである。しかし特に営業力の不足、情報量の不足、人材の不足、コスト意識の なさ等が指摘されている。各地の県産材の入手に関しても、求めようとするとどこにもない。森林組合に量をまとめて 注文すると「そんなにはない」と言う返事で、他の組合と連携をとる努力すらない。こんな意見が出る。 やはり経営の意欲を出させる必要がある。また流通部門の強化には、インテリアコーディネイターや建築士の養成をはかり、 消費者に地域木材使用の住宅の提案ができるようにする。



2,資金力がない

 各地の森林組合の経営は、組合員の付加金と補助金の手数料で成り立っているため、資本がきわめて乏しく、 活動資金が不足している。借入金に関しても理事の個人保証を要求され、結果的に保証できる人が組合長になり、 時にはそのことで執行部人事の停滞を招いている。森林組合改革を行うときには、この資金問題を検討すべきである。

3,やる気のある人材育成

 人材に関しては、 問題は多い。今の森林組合は行政の保護政策のぬるま湯になれすぎていて、本来、なぜ行政が森林組合を 優遇していたかの本質的な目的を忘れ、その優遇策が当然のように享受しながら、地域の森林が荒廃し、 経営が破綻するのを高見から見物しているような執行部、職員が多く見受けられる。近年は現場に森林問題を 解決する一員になろうとする、意識をもった若者や転職者が多く参入しているが、多くの森林組合は彼らを単に 新しい労働者としてしか扱うことができずに、上記のような組合の体質の改善に有効に利用していない。
 そこで、理事の定年制と定員の減、組合長の議員、市町村長との兼務の禁止、外部監事の導入、 などによって執行部の活性化を図り、県森連は顧問弁護士をおき常に法律的な事業の適正な運営のつとめる。
 単位森林組合は、中小企業診断士等によるチェックを行い効率の良い経営に転換する。
 内部の職員に各種資格の取得を勧め、この部分には厚生労働省等の補助を充実させる。

4,新しい森林管理の方向を理解した森林組合へ

 現在の森林組合は、既存の補助制度を前提とした森林管理事業をこなしていく事を前提とした経験を中心とした 管理集団である。今後は単に補助事業の中継ぎ機能ではなく、地域の森林を多様な機能の発揮を考慮した森林管理を 実行できる知識と意識の向上が必要であるが、現在はその具体的な技術を教育する仕組みができていないために、 未だこれまでの経験をベースにしているために、新しい森林管理に対しての理解が全くされていない。
 今後、全国森林組合連合会の最大の仕事は各森林組合にこの知識と意識を注入することであり、 行政とスクラムを組んで計画、実行するべきであり、同時に環境NGO、森林ボランティアの力を借りる部分でもある。



5,組合員に対する情報提供の強化

 森林組合の総会、総代会は形骸化しているところが多い。そこで組合は積極的に 補助の利用の仕組みの説明や市町村を含め地域の林道作業道の計画の説明会を県と共同で開催する。これにより 自らの補助事業に対しての組合員の要望を取り入れることが可能になり、森林管理が地域に沿った計画立案が可能になる。

6,現場管理の責任者の養成

 森林組合は現場管理責任者が、管理者としての専門教育を受けていない場合がほとんどである。 今後現場作業班を持つ森林組合は現場管理の責任者を指定し、専門の教育を受けさせる必要がある。また林野庁は それに対しての適切な教育システムを提供すべきである。


7,地域を越えた連携

 森林組合は今後、森林管理のコンサルタント、強力な素材生産業、木材流通加工業等を専門的、あるいは複合的に目指す必要があると思われる。その過程で現在のある程度地域割りがある状態から県をまたいで活躍する組合が育ってくる可能性がある。こうなって初めて日本では小規模森林所有の問題を打破する状況が生まれるのではないか。単位組合が数十万ha〜百数十万haの森林を管理し、木材を流通させる。目指すべきはこの様な組合である。




新たな森林社会の創造を求めて

――森林ボランティア活動を進める市民からの第三次提言――(抜粋)

21 森林組合の改革と林業担い手の育成
 農業に農協があるように、林業には各地に森林組合がある。ところが農協は、今日で はさまざまな問題を露呈させているとはいっても、それでもなお戦前、戦後の農民の運動を出発点にしており、農業者の 協同組合であるという性格を一応はもっている。
 それに対して森林組合は、@補助金の受け皿団体として上からつくられてきた、Aその結果、林業者の協同組合では なく、森林所有者の団体である、という性格をもっている。つまり森で働いていても森林を所有していなければ組合員に なることができず、逆に森に関心はなくとも所有者であれば組合員になれるという矛盾に満ちた団体になっている。
 ところが森林組合は、農協とは違って、作業班制度をもっている。つまり森で働く人々の労働組織が内部にあり、 その結果地域の森づくりの中心になっているという面も、また成立しているのである。
 このような経過を踏まえてこれからの森づくりを考えていくなら、まず第一に、森林組合はその財産ともいうべき 労働組織=作業班を強化し、同時に単なる林業のための労働組織から、総合的な森林管理をすすめる労働組織へと 変革していく必要があるだろう。それは先述した「直接支払い制度」を行うことによって、実現可能なものになる。
 しかし、第二に、森林所有者の組合であるという性格を改め、森で働く人々、地域で森づくりに意欲をもつ人々、 森林教育を推進しようとする地域の学校関係者、さらに長期にわたってその地域の森づくりに参加しようとする、 流域、都市の森林ボランティアなど、森にかかわるすべての人々が組合員になれる組織に変えていく必要があるだろう。
 また、第三に、森林組合と補助金との関係も、私たちは見直してもよいのではないかと考えている。 なぜなら今日の森林組合は、補助金の手数料で維持されているケースも多く、そのために森づくりよりも、 補助金額の維持を目的にした組合になっていることも多い。
 森林組合は、「直接支払い制度」の実現を前提にして、総合的な地域の森づくりをすすめる労働組織に 純化したほうが、これからの森づくりにとってはよいのではないだろうか。とともに、さまざまな人々が 組合員になることによって、労働組織の仕事の内容をひろげていく、つまり森の作業とは単に木を植えたり 切ったりすることだけではなく、地域に適した森づくりのプランナーになることでもあり、人々を森へと導く 案内人になることでもあり、さらに森と地域に関する総合的な専門家になることでもあるということを、 少しづつ確立していくことのほうが重要であろう。
 したがって、森林組合法、協同組合法を改正し、その方が適している地域では、農林一体の協同組合や、 農林漁業一体の協同組合、あるいは山村総合協同組合なども創設できるように改革することを私たちは求める。 とともに森林組合の組合員を森林所有者と限定せず、一定の組合費(少額でよい)を納める森林所有者以外の地域、 流域の人々、たとえば森林で働く人々、森林を教育のなかで活用しようとする学校関係者、森林を舞台にして 活動する文化団体や森林ボランティアの人々も参加できるように改革するのが好ましい。すなわち、新たな 「森林コミュニティ」の担い手、あるいはそのものとしての森林組合の改革を求めるものである。
 また前述したように各種助成金にかかわる業務は「森林委員会」に移し、森林組合は地域の森林を育て、 守り、また林業振興と結びついた各種活動をおこなう組織として活性化させることを私たちは提案する。
 もちろんその活動を活性化させるためには、森林組合や「第三セクター」のもとで働く人々が森林に かかわる総合的な仕事、すなわち地域の森林の将来デザインやそれを実現するにふさわしい技術の創造などを ふくめて行えるようにするとともに、その待遇を根本的に改革する必要がある。その場合も必ずしも通年雇用に こだわらず、季節雇用や臨時雇用であっても、その雇用形態のままで、待遇を改善するための制度として、現在の 造林補助制度を改変した「直接支払い制度」が有効だと考える。