プロジェクト活動

 

新たな森林社会の創造を求めて
森林ボランティア活動をすすめる市民からの第3次提言(その6)

「森づくり政策」市民研究会

2000年11月

目   次  
前文
(第3次提言・その1)
1. 森林問題をめぐる状況は変わったか

1) これまでの提言
2) 国有林は国民の森になったか?
3) 森林における地方分権は進んだか?
4) 都市と農山村の一体的な改革をすすめるために
5) 開かれた森林政策を求めて
6) 森づくりへの様々な人々の参加をめざして 


(第3次提言・その2)

2. 私たちの求める「森林社会」とは
1) 公共空間としての森林
2) 「森林コミュニティ」の再生
3) 森林における地方主権
4)「森林社会」における市民参加 


(第3次提言・その3)

3. これからの森林管理について―私たちの提案
1) 「森林・林業・山村・流域基本法」の制定
2) 「フォレスト・ミニマム」の設定
3) 経済的利用に耐えうる森林の整備と管理
4) 農山村の森林と都市内里山との一体的視点
5) 国産材の顔の見える市場形成
6) 積み上げ型の森林計画制度への改革


(第3次提言・その4)

3. これからの森林管理について―私たちの提案(2)
7) 所有森林の「計画公示制度」と「保続対象森林制度の創設」
8) 「管理放棄森林」の第三者への管理権委譲
9) 森林保全に要する経費の「直接支払い制度」について
10) 市民参加による新しい「森林地図」の作成を
11) 「流域森林委員会」の創設
12) 「森林委員会」と地域森林管理
13) 新たな「森林官制度」の創設
14) 地域・流域の「国有林管理委員会」の創設
15) 「森林オンブズマン制度」と森林認証制度について


(第3次提言・その5)

 3. これからの森林管理について―私たちの提案(3)
16) 治山計画、保安林制度と「森林委員会」
17) 林道規格の撤廃と地域・流域における自主的な決定
18) 高性能機械に傾斜しすぎない技術の維持を
19) 森林に関するすべての公的累積赤字の解消を
20) 補助金システムの改革を
21) 森林組合の改革と林業担い手の育成
22) 相続税の改善について
23) 森林における生物多様性の保全
24) 住民としての二重登録制度の創設
25) 山村の生活上の条件不利の早急な解決
26) 森林ボランティアの育成
27) 総合的な流域管理組織の創設を
28) これからの森林財源について
29) 新たな木材需給率の設定について


(第3次提言・その6)
4. 森林所有者、森林に関係する人々や機関、地域の人々、流域・都市の人々、森林ボランティア、行政の新しい関係をつくりだすために
 


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(第3次提言・その6)

4. 森林所有者、森林に関係する人々や機関、地域の人々、流域・都市の人々、森林ボランティア、行政の新しい関係をつくりだすために

 

これまでの森林管理は、森林所有者、森で働く人々、森林組合、行政といったごく一部の人々の手によっておこなわれてきた。しかしこれからはそうであってはならない。森とともに暮らす社会をつくることによって、すべての人々が、それぞれの立場から森とかかわる時代をつくる、それが私たちの目標である。

そのためには改革すべきことも多い。これまでの古い体質やシステムを温存させたままで、人々を啓発しようとしても、それでは多くの人々は動かない。なぜなら森とともに暮らす社会づくりは、経済中心の社会を変えていくことをもふくめて、これまでの価値観、仕事の仕方、生活、人と自然とのかかわり方、人と人の関係など、いわばすべてのものを変えながら、文化的で持続可能な社会をつくっていく、壮大な改革のプロセスとともにあるからである。

とすれば、私たち森林ボランティア活動に参加している者たち自身をふくめて、これまでの価値観や行動に問題がなかったかどうかを、自ら問わなければならないだろう。私たち市民もまたけっして正義の代表ではなく、森を守ることさえできなくなった社会の構成要素の一人である。

行政や森林組合等の森林関係団体も、同じことを自ら問わなければならないだろう。ただし私たちは「悪人探し」を目指してこう述べているのではない。そうではなく、森さえ守れなくなった社会を生んでしまった「私たち」を、誰もが問い直すところから、新しい歩みと協同の行動をはじめようと考えているのである。

私たちの目標は、このことを共通の確認にして、森とかかわる新しい人と人の関係をつくりだしていくことである。とすれば、まず最初に何が必要なのであろうか。それはそれぞれの人々、行政をもふくむそれぞれの組織がもっているこれまでの問題点を謙虚に公表し、またもっているすべての情報を公開しながら、新しい信頼関係を築くことであろう。

とすれば行政もまた、これまでの森林政策にあった誤りを率直に認め、公表すべきである。私たちは行政批判のためにそれを求めているのではない。むしろ私たちの気持は次のようなところにある。たとえば、今日の視点からみれば、戦後の拡大造林は、造林不適地まで人工林化するといった、あるいは人工林のふやしすぎが村をどのように変えるかを配慮しなかったといった、いくつかの問題点をももっている。ゆえに私たちは、拡大造林のなかで生じた問題点をも、率直に公表すべきだと考えている。

しかし拡大造林がすすめられた高度成長の時代は、ほとんどすべての人々が経済合理性と経済効率の神話にとりつかれていた時代であり、たとえゆきすぎた拡大造林であったとしても、私たちもまたそれを批判できる立場にはないのである。私たちは、森にかかわろうとする者たちは、自らの誤りを認める謙虚さを森に対してもっていたいし、そのような謙虚さがあるからこそ、すべての人たちは信頼関係をつくれるのだと考えているのである。とすれば行政もまた、これまでの政策的な誤りを認め公表すべきであり、森林に関する一切の情報を公開したうえで、すべての人々と信頼感のある関係を築くべきなのである。

したがってこの「提言」もまた、私たちが「正義」を代弁するために提案するものではない。私たち自身の反省をふまえて、森とかかわるすべての人々との間に議論の場をつくるために、私たちはこの「提言」を提出する。森とともに暮らす社会をつくるにはどうすればよいのか。都市が農山村を必要とし、農山村が都市を必要とする社会をつくるにはどうすればよいのか。私たちはこのことを考えながら、ときに森のなかで働き、ときに議論を重ね、本「提言」を作成した。

 
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